なぜ、犬は散歩をしなければいけないの?

「なぜ犬は散歩しないといけないの?」
「本当に犬に散歩って必要なの?」
「散歩はただ運動させるためだけの時間じゃないの?」
「散歩って犬に排泄させるための時間じゃないの?」

素朴ながらそんな疑問を抱いたことはありませんか?

もちろん、お散歩に出て外を歩いたり、走って動いたり、運動することは大切です!
ワンちゃんたちは四足歩行なの、寝ている時よりも歩いている時の方が、横隔膜や胃腸が活発に動いて、排泄物が促されるなど、様々なメリットもあります。

しかし、ワンちゃんを散歩しなければいけない本当の理由は別にあるんです。
今回は「犬を散歩しないといけない」理由を、理論的な面からご紹介していきます!

アニマルウェルフェアとFive Freedoms

実は、犬には散歩が必要であるということは世界的に動物の福祉を重視する『アニマルウェルフェア』という考え方の中にも指針として基準が設けられています。

『アニマルウェルフェア』とは、世界の動物衛生の向上を目的とする機関のOIE(国際獣疫事務局)が定めた考え方で、
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「動物がその生活している環境にうまく対応している態様」
(参照:http://www.oie.int/en/animal-welfare/animal-welfare-key-themes/)
“`
と定義されています。
つまり、犬に当てはめて簡単にいうと「ワンちゃんたちが、生活の中で幸せを感じられている状態」のことです。

さらに、この「幸せを感じられている状態」を作り出すためには、『Five Freedoms』というものが必要になると言われています。
『Five Freedoms』とは、

  1. “`
    飢えと渇きからの解放
    「正しい食事管理と新鮮な水の保障」
  2. 不快からの解放
    「清潔で心地よい住環境の保障」
  3. 痛み、怪我、病気からの解放
    「疾病予防、早期発見、治療の機会の保障」
  4. 恐怖と絶望からの解放
    「恐怖や精神的苦痛を与えられない保障」
  5. 正常な行動を示す自由
    「その動物種がもつ生来的行動をとることの保障」
    “`
    の5つのです。
    ちょっと難しい言葉ばかりですよね…

しかし!!!
ここで注目して欲しいのは最後の、
「正常な行動を示す自由=その動物種がもつ生来的行動をとることの保障」
です。

実は、ここに『お散歩』が深く関わっているんです!!

お散歩をすることによって、ワンちゃんたちは生来的行動をとることが保証され、その結果幸せを感じることができるのです。

すなわち、ワンちゃんたちにとって「お散歩=幸せ」というわけなんです!!

散歩でとっている犬の生来的行動

ここからは詳細に、
犬が散歩でとっているこの『生来的行動』について説明していきます。

そもそも、犬の生来的行動、すなわちワンちゃんたちが生まれながらもつ習性とはなんなんでしょうか?

実はそこには様々なことが含まれているんです!
例えば、運動(心拍数を上げる事)・遊び・追跡・探索行動(新しい場所やモノに対し嗅覚や視覚、聴覚、足裏の感触などを使って周囲の環境をチェックする行動・五感を使って様々な刺激に接すること・外部の家の中にはない刺激との関わりにより心の刺激を受けて好奇心を育み満たすことなども生来的行動の一部です。
特に探索行動については、獲物を獲るための本能的な行動であり、犬の好奇心を満たすのにとても重要な行動です。

新しい場所に行けば、その場所がどんな場所なのか、どんなニオイがあるのか、他に動物が居るのか、それとも居たのか、安全な場所なのか危険な場所なのか、主に嗅覚を使い、クンクンウロウロしながら歩き回って探索行動を必ずするものです。
そして鼻を使うということは、犬の脳を使わせて刺激し、長時間の散歩にも匹敵する適度な疲労感を犬に与えてくれます。
犬の脳内でのニオイを処理する部分は、なんと人間の40倍もあるということですから、犬が鼻を使えばグッタリ疲れるのも納得ですよね。

散歩では、
他の犬に出会ったり・他の人に挨拶をしたり・小学生の集団登下校に出会ったり・警備員の人に可愛がってもらったり・猫に出会ったり・四季を感じる様々なニオイに出会い嗅覚を使ったり・・・
ここでは挙げきれないくらい、たくさんの家の中にはない刺激を経験し、それに触れるチャンスがあります。

これらすべてがワンちゃんにとっての生態的行動であり、
故に散歩が、ワンちゃんたちが生態的行動をとることを保証できる理由なんです!

人間の飼育下にある犬ワンちゃんたちから、正常な行動の一つである散歩の時間を奪ってしまうと、ワンちゃんたちに過剰なストレスがかかってしまいます。
ワンちゃんたちが心身ともに幸福な暮らしを送るためには、身体的な健康面だけでなく心も重視してやる必要があります。

これからの散歩はどうしたらいい?

ここまで、ワンちゃんたちは、飼い主以外の人や他のワンちゃんたちと触れ合ったり、いろんな匂いを嗅いだりという生来的行動を取ることで幸せを感じられ、その生来的行動を散歩の中で取っているということをお話ししてきました。

だからワンちゃんたちにとって「散歩=幸せ」というわけなんですね。

これを踏まえて、今後の散歩はどのようにして行けば良いでしょうか?

散歩はワンちゃんたちそれぞれの個体の恐怖心や健康面に十分配慮して行う必要があります。
なので健康面だけでなく、情緒面にも十分配慮しながら、楽しいお散歩が出来ると良いですよね!

もし散歩中、他の犬やその飼い主さんに過剰に吠えたり、外を怖がるなど、ワンちゃんのストレス反応が強過ぎる場合や、散歩中に問題だと感じる部分がある場合は、飼い主さんがワンちゃんにトレーニングをして
「お散歩は楽しいこと!」「他の犬や人は怖くない!」と学習するように時間をかけて改善してあげましょう!

他のワンちゃんや飼い主さんが居ても、

「散歩するのは安全・安心で、とっても楽しいこと!」

とワンちゃんに感じてもらえるようトレーニングして、一緒に探索行動してみるのも良いと思います。

また飼い主にとっても、朝に外を散歩することは幸せホルモンであるセロトニンを増やす効果があると言われています!
セロトニンは精神を安定させたり、良質な睡眠を取るのに大きな役割を果たします。

このようにただ一つ「散歩に行く」ということをとっても、飼い主の考え方次第でこんなにも有意義なものになるんです。

次回から、自分の愛犬と外に出る時は、
「今うちの愛犬は散歩できて幸せなんだな!」
「自分もウォーキングになって生産的な時間だなー!」
というように、散歩自体を楽しんでみてください!

そしてワンちゃんのために、いつもとは違う散歩コースを選んでみたり、緑の多い公園に行ってみたり、行ったことのない新しい街を歩いてみたりしてみませんか?


ライター:栗林 純子

1972年生。国立大学卒業後、大手金融サービス業の会社員を経てドッグトレーニングの世界に入る。家庭犬訓練所に入所し、実務経験を積む。ドッグスクールのインストラクターを経て、クリッカートレーニングを学ぶためにイギリスに短期留学。2004年に「空ドッグスクール」を立ち上げ独立。その後、犬の行動学を学び、米国CCPDT(Certified Professional Dog Trainer,Knowledge Assessed)認定CPDT-KA国際ライセンスを取得。現在JAPDT(日本ペットドッグトレーナーズ協会)の事業企画委員を務める。空ドッグスクール代表兼ドッグトレーナー。
HP:http://www.dear-tails.com/

著書:犬から見える飼い主の姿(https://amzn.to/2PjHHon

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